未分割の宅地に小規模宅地等の特例を使うには
未分割宅地と小規模宅地等の特例の関係を中心に、分割見込書、取得者と利用状況の要件、分割後の手続を整理します。
未分割宅地には当初申告で原則使えない
未分割の宅地等には、小規模宅地等の特例を当初申告で原則として適用できません。ただし、必要な書類を当初申告に添付し、期限内に分割され、取得者や利用状況などの要件を満たす場合は、分割後の更正の請求によって適用できる可能性があります。
本記事では制度全体を網羅せず、未分割との関係を中心に説明します。宅地の評価額を減額する制度であり、税額そのものが同じ割合で減るとは限りません。
分割見込書
当初申告では、未分割の対象宅地・利用状況と分割見込書の添付を確認します。提出で要件を満たすことにはならず、分割後の取得者と利用区分の判定が必要です。分割見込書から分割後の請求までの共通手続 →
誰が取得したかによって要件が変わる
配偶者、同居親族、それ以外の親族等では、確認すべき条件が異なります。相続開始前後の居住・保有・事業等の状況を、取得者ごとに整理します。
すべての取得者に同じ居住・保有条件が課されるわけではありません。また、後から分割すれば過去の利用状況も変えられる、という制度ではありません。要件判定の時点を個別に確認します。
- 宅地・建物の所在、持分と実際の利用部分を確認できる資料
- 取得者と被相続人との関係、居住の経過が分かる資料
- 事業用・貸付用の場合の利用実態や継続状況を確認できる資料
- 対象宅地の選択と、必要な同意・計算明細に関する書類
必要な資料は利用区分や取得者によって異なります。形式的な住所や登記だけで判断せず、事実関係と各要件の判定時点を照合します。
宅地の利用区分
自宅用、事業用、貸付用では、限度面積・減額割合・適用要件が異なります。代表的な区分の概要は次のとおりですが、これだけで適用可否を決めるものではありません。
- 特定居住用宅地等:限度面積330㎡、減額割合80%
- 特定事業用宅地等:限度面積400㎡、減額割合80%
- 貸付事業用宅地等:限度面積200㎡、減額割合50%
複数の用途を併用する場合や複数の宅地から選択する場合は、限度面積の調整等も確認します。取得者、保有、居住、事業・貸付けの継続等の条件を、対象区分に応じて検討します。
特例を使う宅地等の選択には、所定の取得者全員の同意が必要になる場合があります。対象となり得る宅地等や、併せて確認する必要がある一定の特例対象財産を誰が取得したかによって、同意を確認する範囲が変わります。遺産分割の合意と、税務上の選択・同意の確認を分けて整理します。
分割後の更正の請求
原則として申告期限から3年以内に分割し、特例固有の要件を満たすか確認します。国税庁の未分割申告Q&Aでは、分割が行われた日の翌日から4か月以内の更正の請求が案内されています。
分割内容、対象宅地の選択、取得者・利用状況を示す資料と計算明細等をそろえます。分割を知った日等に特別な事情がある場合には、請求の起算点を個別に確認してください。
財産の一部だけ分割できている場合は、分割済みの財産と未分割の財産を分けて確認します。未分割の財産が残っていることだけで、すべての財産について特例が使えないと決まるわけではありません。一方、分割済みであっても、取得者や対象財産などの要件を満たす必要があります。小規模宅地等の特例は、他の対象宅地等の取得・選択状況も関係します。一部分割をすれば必ず適用できるとは限りません。
3年を超える場合
申告期限から3年を超えて未分割となる場合は、一定のやむを得ない事由について期限内の承認申請等を確認します。承認は宅地の利用・取得者等の要件を免除するものではありません。承認申請とその後の分割・請求期限 →
自動的に適用・還付されない
分割見込書の提出や遺産分割の成立だけで、特例が自動的に適用されるわけではありません。取得者・利用状況等の要件を確認し、所定の請求手続を行います。
税額が減る場合でも、自動的に還付されるわけではありません。分割成立後は必要な資料を担当税理士へ共有し、対応する業務と料金を確認してください。
参考情報
国税庁の一次資料をもとに整理しています。個別の取扱いは、相続開始日、財産、取得者、資料や分割の状況等によって異なります。
現在の状況から、ご相談ください
申告期限、遺産分割の状況、判明している財産と不足資料を、分かる範囲でお知らせください。必要な確認と、対応できる業務の範囲・料金を整理します。
未分割相続について相談する