未分割相続のよくある質問
遺産分割が終わっていない場合の相続税申告について、よくある質問をまとめました。
申告期限、財産や資料、調停、特例、申告後の手続、料金など、確認したい質問を選んでご覧ください。
実際に必要となる対応は、相続開始日、相続人、遺言書、財産の内容、遺産分割の状況、資料の確認状況などによって異なります。
申告期限・未分割申告
遺産分割が終わっていなくても、相続税申告は必要ですか
相続税の申告が必要な場合は、遺産分割が終わっていなくても、期限内に申告・納付しなければなりません。
申告期限までに遺産分割が成立しない場合は、未分割の状態で相続税を計算します。遺産分割が成立してから申告すればよいわけではありません。
基礎控除以下でも、未分割なら申告が必要ですか
遺産の額が基礎控除以下であるなど、もともと相続税の申告義務がない場合は、未分割であることだけを理由に申告が必要になるわけではありません。
ただし、申告義務の有無は、財産、債務、生前贈与、相続人などを確認して判断します。遺産の全体像が分からない段階で、基礎控除以下と決めないことが重要です。
調停中なら、相続税の申告期限は延びますか
原則として延びません。
遺産分割調停や審判が続いていても、相続税の申告期限は別に進みます。期限までに遺産分割が成立しない場合は、調停を継続しながら、未分割の状態で申告・納付します。
関連記事:相続税の申告期限直前に確認すべき8項目
資料が揃っていなければ、申告期限は延びますか
資料が揃っていないことだけを理由に、申告期限が延びるわけではありません。
確認できている財産、共有されていない資料、未確認事項、相続人ごとに認識が異なる事項を区別し、期限までに確認を進めます。確認できない部分を根拠のない推測だけで補ってよいわけでもありません。
申告期限と納期限は同じですか
原則として同じです。
相続税の申告と納付は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行います。申告書の提出だけでなく、納税資金と納付方法も期限までに確認する必要があります。
相続人ごとに別々に申告できますか
できます。相続人ごとに別々に相続税申告をすることは可能です。
遺産分割について意見が一致していない場合や、相続人ごとに別の専門家へ依頼している場合など、未分割相続では別々に申告することもあります。
ただし、同じ相続についての申告ですから、遺産総額、相続人、財産の内容など、共通する事項があります。相続人間で資料や認識が異なる場合、すべてを一致させることが難しいケースもあります。
当事務所では、他の相続人と申告内容を無理に合わせるのではなく、確認できた資料や事実を整理し、共通する事項との整合性をできる限り確認したうえで、その相続人の申告内容と判断根拠を整理します。
本人でも未分割相続の申告はできますか
自分で相続税申告をすることはできます。ただし、未分割の相続税申告は、通常の相続税申告より判断が難しくなることがあります。
相続税申告では、財産の把握と評価、過去の資金移動、特例の適用など、もともと確認すべき事項が多くあります。
未分割の場合はさらに、誰が何を取得するか決まっていない状態での税額計算、相続人間で説明が異なる事項、確認できていない財産や資料、分割後に特例を適用するための手続なども検討する必要があります。
利用できる特例や必要な手続を見落とせば、本来より多く相続税を納めることになる場合があります。財産の確認や評価が不十分であれば、後日の税務署への対応が必要になることもあります。
特に未分割での申告は、早い段階で税理士へ相談することをおすすめします。
自分で相続税申告をすれば、税理士報酬がかからないので得ではありませんか?
税理士報酬はかかりませんが、結果として得になるとは限りません。
相続税は、財産を申告書に記載して税率を掛けるだけではありません。財産評価や特例の適用、過去の資金移動などによって税額が変わります。
特に未分割の場合は、当初申告では使えない特例について、分割後に適用するための書類や期限も管理する必要があります。
こうした評価や特例、手続を見落とすと、税理士報酬を節約した以上に相続税を多く納めてしまうこともあります。
また、多く納めているからといって、税務署が必ず払いすぎを見つけて還付してくれるわけではありません。
相続税はもともと専門的な申告です。未分割の場合はさらに確認事項が増えるため、税額だけでなく申告後の手続まで含めて税理士に確認することをおすすめします。
相続財産の預貯金から納税できますか
預貯金の解約や払戻しができれば、納税資金に充てることは可能です。
ただし、遺産分割前の預貯金を、相続人が自由に全額引き出せるとは限りません。金融機関の相続手続、他の相続人の協力、遺産分割前の払戻制度の利用などを確認する必要があります。
相続財産から納税できることを前提にせず、早めに納税資金を確認します。
延納や物納は利用できますか
一定の要件を満たす場合には、延納や物納を申請できることがあります。
ただし、相続税は金銭による一括納付が原則です。延納や物納は、希望すれば必ず利用できる制度ではなく、それぞれ要件があります。
原則として申告期限までに申請手続が必要となるため、利用可能性は早い段階で確認します。
関連記事:相続税の納税資金がない場合はどうする?
財産・資料
財産や資料がまだ揃っていなくても相談できますか?
ご相談いただけます。
最初の相談までに、すべての財産や資料を揃えていただく必要はありません。現在分かっている財産、まだ分からないこと、手元にある資料や他の方が持っている資料、申告期限などを、分かる範囲でお知らせください。
他の相続人が通帳や財産資料を持っている場合はどうしますか
まず、共有されている資料と、共有されていない資料を区別します。
依頼者から他の相続人へ資料の共有を求めていただくほか、代替資料による確認や、税額への影響を検討します。当事務所が他の相続人に資料の開示を強制したり、遺産分割交渉を行ったりすることはできません。
申告に必要な資料は誰が集めますか
資料の収集と提供は、原則として依頼者に行っていただきます。
当事務所は、必要資料の整理、取得方法の案内、不足資料の確認、代替資料の検討、取得状況の管理支援などを行います。当事務所が依頼者や他の相続人に代わって、すべての資料を自動的に取得できるわけではありません。
税理士が残高証明書や取引履歴を取得できますか
税理士が当然に取得できるわけではありません。
金融機関の取扱い、委任状、相続関係を確認する書類などによって、代理取得できる場合もあります。一方で、相続人本人による手続や、他の相続人の協力が必要になることもあります。
具体的な取得方法は、対象となる金融機関へ確認したうえでご案内します。
関連記事:残高証明書と取引履歴の違い
申告後に新しい財産が見つかった場合はどうしますか
新しく判明した財産が、当初申告の財産、評価額、相続税額に影響するかを確認します。
相続税額が増える場合は、修正申告と追加納税を検討します。また、新しい資料によって財産評価や債務などが変わり、税額が減る場合には、更正の請求を検討することがあります。
新しい財産や資料が判明した場合は、早めに税理士へお知らせください。
調停・専門家
弁護士に遺産分割を依頼しています。相続税申告も対応してもらえますか?
弁護士へ遺産分割を依頼していても、相続税申告を誰が担当するかは別に確認する必要があります。
弁護士は遺産分割交渉、調停、審判などの法律上の手続を担当し、税理士は財産評価、相続税の計算・申告、納税、分割成立後の税務手続を担当します。
弁護士が関与している場合には、必要に応じて情報を共有しながら、遺産分割の手続と相続税申告を並行して進めます。
他の税理士に断られた未分割相続でも相談できますか?
ご相談いただけます。
未分割、資料不足、相続人間で認識が異なる、調停中、申告期限が迫っているなど、通常の相続税申告より整理が難しい案件もご相談ください。
現在分かっている資料や事実、申告期限、他の専門家の関与状況などを確認し、当事務所で対応できる業務範囲と進め方を検討します。
ただし、案件の状況によってはお受けできない場合もあります。
未分割で申告すると、税務調査を受けやすくなりますか
未分割であることだけで、税務調査を受けやすくなるとは限りません。
ただし、資料不足や相続人間で説明が異なるなど、申告内容に疑問や不整合が生じやすい場合には、税務調査に入る可能性が高まると当事務所では考えています。
これは、資料不足案件について調査確率がどの程度上がるかを示す公表統計や、国税庁が公表した個別の調査選定基準に基づく説明ではありません。また、このような事情があれば必ず税務調査になるという意味でもありません。
当事務所では、確認できた事実、未確認事項、計算上採用した取扱いとその根拠、確認の経過を整理して申告します。
特例・申告後
分割見込書を提出すれば、将来必ず特例を使えますか
提出しただけで、将来の特例適用が確定するわけではありません。
申告期限後3年以内の分割見込書は、未分割のため当初申告で適用できない特例について、分割成立後の適用を検討するために必要となる書類です。
実際に特例を受けるには、遺産分割の成立、特例ごとの要件、所定の手続と期限を確認する必要があります。
遺産分割が成立すれば、相続税は自動的に戻りますか
自動的には戻りません。
実際の取得内容に基づいて相続税額を再計算すると、税額が減る相続人と増える相続人が生じることがあります。税額が減る場合も、要件と期限を確認して、更正の請求などの手続を行う必要があります。
遺産分割成立後は、どのような税務手続が必要ですか
まず、遺産分割協議書、調停調書、審判書などから、各相続人が実際に取得した財産を確認します。
その内容を当初申告と比較して相続税額を再計算し、必要に応じて修正申告、更正の請求、特例の適用などを検討します。
遺産分割が成立しただけで、税務署への手続が自動的に行われるわけではありません。
業務範囲・料金
分割成立後の手続は、当初の申告料金に含まれますか
原則として含まれません。
分割成立後の税額の再計算、更正の請求、修正申告、特例に関する手続などは、当初の相続税申告とは別の業務です。遺産分割の内容と必要な手続を確認したうえで、業務範囲と料金を改めてご案内します。
税務調査への対応は、当初の申告料金に含まれますか
原則として含まれません。
税務調査への対応は、原則として当初の相続税申告とは別の業務です。税務署からの問い合わせについては、確認内容と必要な対応の範囲を確認します。
別途業務となる場合は、対応内容と料金をご案内します。
ご相談・ご依頼の前に
遠方ですが相談できますか?
遠方の方もご相談いただけます。
オンライン等を利用して相談を行い、資料についても郵送やデータでの受渡しを組み合わせて進めます。
ご依頼前に、遺産分割の状況、申告期限、財産・資料の状況などを確認し、必要な対応と業務範囲をご案内します。
相続人全員の同意がなくても、税理士に依頼できますか?
相続人全員が同じ税理士へ依頼しなければならないわけではありません。
遺産分割について意見が一致していない場合など、一人の相続人からご相談を受けることもあります。
ただし、同じ相続についての申告であるため、遺産総額、相続人、財産など共通する事項があります。他の相続人の申告や資料と一致しない事項がある場合も含め、確認できた資料と事実に基づいて申告内容を整理します。
申告期限までほとんど時間がありませんが、相談できますか?
ご相談ください。
残りの期間、遺産分割の状況、財産・資料、概算税額、納税資金などを確認し、期限までに何を優先するか整理します。
ただし、残り期間や案件の状況によっては対応できない場合があります。できるだけ早い段階でご相談ください。
一般的な回答だけでは判断できない方へ
未分割案件では、遺産分割の状況、相続税の申告期限、財産や資料の確認状況、相続人間の認識の違いなどによって、必要な対応が異なります。
一般的な回答だけでは判断できない場合は、現在分かっている状況を整理したうえでご相談ください。