未分割申告・特例・申告後の手続

自分で相続税申告をすれば得?税金を多く払いすぎることがある理由

税理士報酬を節約できても、結果として得になるとは限りません。財産評価、債務・葬式費用、特例と分割後の手続を見落とすことによる払いすぎの可能性を説明します。

報酬がかからなくても、結果として得とは限らない

自分で相続税申告をすれば税理士報酬はかかりません。しかし、それだけで結果として得になるとは限りません。

相続税は、財産の把握や評価、債務・葬式費用、特例などによって税額が変わります。特に遺産分割が終わっていない場合は、当初申告だけでなく、分割後に必要となる手続まで考えておく必要があります。

税金を少なく申告すれば後から指摘を受ける可能性がありますが、多く納めた場合に、税務署がすべての払いすぎを見つけて自動的に返してくれるわけではありません。

財産を足して税率を掛けるだけではない

相続税では、何が課税対象となるかを確認したうえで、財産の種類に応じた評価、非課税となる範囲、債務等の控除、税額控除などを検討します。遺産分割で話し合っている財産と、税務上確認すべき財産が同じとは限りません。

未分割の場合は、誰が何を取得するか決まっていない財産の計算に加え、すでに分割された財産や保険金などの取扱いにも注意が必要です。申告書の空欄を埋めることと、適切な税額を計算することは同じではありません。

財産評価によって税額が変わる

土地や建物、非上場株式などは、相続税のための評価を行います。売買価格や固定資産税評価額など、手元の資料にある金額をすべてそのまま申告額にできるわけではありません。

土地の利用状況や権利関係など、評価に影響する条件を見落とすと、本来より高く評価して税額が増える場合があります。一方、根拠なく低い評価額を使えば申告の誤りにつながります。必要な資料と個別の条件に基づく判断が重要です。

控除できる債務・一定の葬式費用を見落とさない

被相続人の借入金や未払金など、相続開始時に存在して確実と認められる債務は、一定の範囲で遺産総額から差し引けます。葬式にかかった費用にも、控除の対象となるものがあります。

ただし、相続に関連して支払った費用をすべて差し引けるわけではありません。墓地・墓石の購入費用や香典返しなどは葬式費用の控除対象に含まれません。支出の内容や負担者、控除を受ける人の条件を確認する必要があります。

対象となる債務や費用を見落とすことも、対象外の費用まで控除することも、税額の誤りにつながります。

特例は、利用できる条件と手続の確認が必要

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などは、要件を満たす場合に税負担へ大きく影響することがあります。財産の内容だけでなく、取得する人や利用・保有の状況、提出書類などの確認が必要です。

特例を使うと納税額がなくなる場合でも、申告が必要なことがあります。制度の名前を知っているだけで適用できるものではなく、使える特例を見落とした場合には、本来より多く納税する可能性があります。

未分割申告後に配偶者の税額軽減を使うには →

未分割の宅地に小規模宅地等の特例を使うには →

未分割では「今は使えない特例」で終わらない

未分割の財産には、当初申告で配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を原則として適用できません。ただし、必要な手続を行い、分割後に要件を満たした場合には、適用できる可能性があります。

そのため、当初申告時の「申告期限後3年以内の分割見込書」や、分割が長期化する場合の承認申請、分割後の更正の請求などを確認します。書類を出しただけで将来の特例適用が確定するわけではなく、それぞれの条件と期限があります。

申告時点の税額だけを見て終わりにせず、分割後に必要となる対応まで見通しておくことが重要です。

申告期限後3年以内の分割見込書とは? →

遺産分割調停が申告期限後3年を超える場合の相続税手続 →

税務署が払いすぎを必ず教えてくれるわけではない

税務署では税に関する相談や案内を受けられます。ただし、相談で伝えていない事情や、提出資料だけでは分からない評価条件まで、すべて確認されるとは限りません。

申告書が受け付けられたことは、財産評価や特例の見落としがなく、納税額が最適であると確認されたことを意味しません。

多く納めた税額の見直しには、更正の請求など、理由に応じた手続と期限の確認が必要です。請求すれば必ず還付されるわけでもありません。払いすぎに気付いた場合は、その理由と必要な対応を早めに相談してください。

遺産分割成立後に修正申告・更正の請求が必要になる場合 →

税理士報酬と税額の両方を考える

依頼するかどうかは、報酬だけでなく、申告内容の確認に必要な時間、財産評価や特例の判断、申告後の対応も含めて検討します。

税理士へ依頼すれば必ず税額が下がるという意味ではありません。また、自分で申告すると必ず払いすぎになるわけでもありません。財産や資料の状況によって、必要な支援は異なります。

当事務所では、現在の状況を確認し、担当する業務と料金をご案内します。分割成立後の手続など、当初申告とは別の業務になるものも事前に確認します。

未分割ならではの追加の判断がある

未分割の相続では、相続人間で資料や説明が一致しないことや、財産の帰属について意見が異なることがあります。確認できた資料と事実に基づく税務上の判断が必要です。

遺産分割交渉や調停などの法律上の手続と、期限までの相続税申告を分けて進めます。当事務所は税務部分を担当し、必要に応じて担当弁護士との情報共有をお願いしています。

ご自身での申告に迷っている場合も、資料がすべて揃うのを待たず、申告期限と現在の状況からご相談ください。

参考情報

国税庁の一次資料をもとにした一般的な説明です。個別の取扱いは、相続開始日、財産、資料、取得者、分割の状況などによって異なります。

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現在の状況から、ご相談ください

ご自身で申告するか迷っている場合も、申告期限、遺産分割の状況、財産や資料の状況をお知らせください。必要な確認と、対応できる業務の範囲・料金をご案内します。

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